建築現場の華やかなスターたち

現場の華

 鳶職(とびしょく)とは、高層な建築現場での作業を専門とする職人のことです。曳き屋・遣(や)り方という職名も同じです。かつて、建物の棟上の時に熟練職人は梁から梁へ身軽に飛び回って作業をしましたので「鳶(とび)」と呼ばれるようになりました。町場では建築するための基礎工事や間知石積も行いますので「鳶・土工(土方)」とまとめて呼ばれることもあります。作業の種類などによって「足場鳶」「重量鳶」「鉄骨鳶」と分類されることがあり、建築現場では高所をカッコよく華麗に動き回る人たちを、羨望の眼差しを添えて「現場の華」と呼んできました。〈鳶職とは〉出典は百科辞典「ウィキペディア」


いなせな鳶職に娘たちははしゃいだ

 遠く飛鳥時代(592〜710年)には普請業を右官、塗装業を左官と称したそうです。「鳶職」の職名が現れるのは江戸時代(1600〜1867年)以降で、町鳶・野帳場鳶の名称が見えます。テレビ時代劇などで描かれた、いなせな火消し(鳶職)のように、当時は若い娘さんたちの目を引いたのでしょう。

公共事業の担い手だった

 江戸期、都市部の江戸では庶民の総合扶助の単位として町や町場という共同体が生まれましたが、これが公共的な自治単位へ発展しました。町や町場で、今でいう“公共事業”を、鳶職が担うことになったのです。庶民の祭礼では山車(だし)や神輿(みこし)を作り、冠婚葬祭を手伝い、川に橋を架け、井戸を掘って上水道の枡を作り、下水道の溝板まで作りました。

鳶職ならではの消防手柄も

 庶民に最も感謝されたのは「火消し」です。当時は破壊消防が消火活動だったため、家屋の構造を熟知した鳶職たちが鳶口や掛矢を操って瞬く間に火焔にさらされた家屋を解体しました。そうして延焼を防いだのです。